株式会社ライフコーポレーション
秘書・広報部 兼 サステナビリティ推進部 課長 小川 啓さん(写真:右)
サステナビリティ推進部 課長代理 谷口 真美さん(写真:左)
ネッスーは株式会社ライフコーポレーションと連携し、店舗で発生する「まだ食べられるけれど、残りの賞味期限が短いなどで通常販売できなくなった商品」を安く販売して食品ロス削減につなげるサービス「ステナス」の実証実験に取り組んでいます。
今回は、ライフの小川さんと谷口さんに「食料品を扱う企業としての責任」やステナスをはじめたきっかけ、サービスを通して描く未来についてお話を伺いました。
目次
1.ライフが挑む4つのサステナビリティ戦略
2.生鮮食品のロスをどう減らす?店舗が抱える “もったいない” のジレンマ
3.ライフ×ネッスーが取り組む。生鮮食品のロスをなくす挑戦
4.利用者の声とスタッフの手応えから見えた「ステナス」の価値
5.「ステナス」が目指す食品ロス削減の輪と格差を解消する未来
1.ライフが挑む4つのサステナビリティ戦略
Q.まずは担当業務について教えてください。
(谷口さん) 私たちはサステナビリティ推進部という部署に所属しており、環境を軸にした活動を担当しています。
主に4つのテーマに沿って取り組みをしています。
1つ目が食品ロス削減、2つ目がプラスチックごみ削減、3つ目がCO₂削減、そして4つ目が地域貢献活動です。具体的には、こども食堂支援、衣料品回収、資源リサイクル、出前授業など、さまざまな活動を行っています。細かい取り組みは多岐にわたりますが、すべての取り組みが先ほど述べた4つのテーマに基づいて進められています。
Q.4つのテーマのうちの1つである、食品ロス削減に向けた取り組みをお聞かせください。
(谷口さん)食料品を取り扱う企業として、食品廃棄の発生を抑制させる取り組みが何より大事だと考えています。食品ロスを削減していくことは、私たちの責任でもあると思っています。
すでに多くの企業さんが実践していることではありますが、当社でも値引き販売、てまえどりの推奨、AI発注、賞味期限の延長などを導入しています。さらに当社の場合は、バイオガス発電の施設を首都圏と近畿圏に持っており、積極的に取り組みができていると思っています。
ただ、これで全て対応しきったとは思っていないので、今後も持続的に実施できる良い施策があれば、積極的に取り組んでいきたいと考えています。
2. 生鮮食品のロスをどう減らす?店舗が抱える “もったいない” の
ジレンマ
Q.サステナビリティ推進部として業務を行うなかで感じる課題はどのような点でしょうか?
(谷口さん)そうですね、食品ロスに関する課題で言うと、当社はスーパーマーケットとしてたくさんの食品を扱っていますが、これまでの寄贈活動はどうしても賞味期限や消費期限が比較的長い加工食品が中心になっていました。
実際には、日々多く廃棄が発生しているものは生鮮食品なのですが、その生鮮食品の寄贈がなかなかできない点が一番の課題に思っていたところでした。
(小川さん)こうした状況を踏まえると、食品ロスの問題は、サステナビリティ推進部だけでなく、店舗と一緒に取り組む必要性があります。店舗の協力がなければ食品ロスの大幅な削減にはつながりませんので、まずは店舗にしっかり理解してもらうことが重要だと感じていました。
あと、私自身も以前店舗で働いていて、ベーカリー部門で日々パンを作っていましたが、どうしても売れ残りが出てしまっていました。
計画段階である程度のロスを見込んで生産をしてはいるものの、売れ残りが発生し、それを毎日のように廃棄登録して捨てるという状況がありました。
“もったいない”と感じつつも、仕事としてやむを得ない面があり、売り上げの最大化を考えると、どうしても食品ロスが出てしまう——その点にずっとモヤモヤを抱えていました。

Q. こどもや地域を取り巻く格差について感じている課題はありますか?
(小川さん)実際にこども食堂への支援に取り組んで、初めて気づいたことがありました。
「貧困世帯は9人に1人」といった話は耳にしていたのですが、こども食堂を訪れ、物資をこどもたちに手渡す場面を見させてもらうと、外からは“その子が貧困状態にあるかどうか”は本当に分からないんです。
なので、普段の生活の中では、そうした状況にある人が身近にいることを実感しづらいと感じました。
そこがもっともっと理解されていくと、社会全体での協力体制が築いていけるのではないかと思っています。今回の取り組みを通じて、こどもの貧困について知っていただくきっかけが広がっていくといいなと感じています。
3. ライフ×ネッスーが取り組む。生鮮食品のロスをなくす挑戦
Q.ステナスを開始することになったきっかけを教えてください。
(谷口さん)今まで期限が長い加工食品に限定して、地域のこども食堂へ寄贈をしていましたが、日々廃棄が発生している生鮮食品も無駄にしたくないと思い、何かできないか考えていました。
そんな時、海外のスーパーでは生鮮食品を寄贈する仕組みが構築されていると聞き、それを日本でも同じような形でできないかとネッスーさんにご相談したのがきっかけです。

Q.ステナスを進めるにあたって、懸念や障壁はありましたか?
(谷口さん)当社で設けている販売期限が切れたものを販売するのは品質的に大丈夫なのかという意見が社内では多く上がりました。
また、新しい仕組み入れることによる店舗従業員への負担をいかに軽く出来るかも課題としてありました。昨年は従業員に対して説明会を何度も実施して、そこの理解を得られるようにしようと取り組みました。
4.利用者の声とスタッフの手応えから見えた「ステナス」の価値
Q. ステナスを利用された親御さんやお子さんの反応はいかがでしたか?
(谷口さん)利用者の方から直接お手紙をいただけたことは、私としても「頑張ってよかった」と心から感じられる出来事でした。店舗の従業員にとっても、「自分たちは良い取り組みをしているんだ」と実感できた瞬間だったのではないかと思います。
Q.店舗スタッフや関係者の方から、この取り組みに関するお声がありましたら教えてください。
(谷口さん)開始前は、「本当に大丈夫なの?」といった慎重な声もありました。しかし、実際に無事に終えてみると、「良い結果が得られてよかったね」「それならもっとやったほうがいいんじゃない?」といった前向きな声が多く寄せられました。
また、従業員からマイナスな声はほとんどなく、「もう少しこうしたほうがいいんじゃないか」といったアドバイスをもらえるほど、前向きな意見が多かったという印象です。
5. 「ステナス」が目指す食品ロス削減の輪と格差を解消する未来
Q.この取り組みが広がっていったとき、どんな未来を描いていますか?
(谷口さん)今年で2年目となり、東急ストアさんも参加いただけることになりました。来年、再来年と継続していく中で、もっと色々な企業や団体に加わっていただき、首都圏だけに限らず日本全国へと広がっていくことを期待しています。全国のお困りの方々がさまざまな企業から支援を受けられるようになり、地域の格差が解消され、こどもたちが豊かな生活を送れる未来を作れたらと考えています。
(小川さん)多くの企業が参加して、多くの方がこのサービスを利用することで、食品廃棄に対する消費者の考え方が変わっていくといいなと思っています。
「期限が来たら捨てる・食べない」といった考えを持つ方はまだ多いと思いますが、実際にはまだ食べられる食品もたくさんあります。
こうした取り組みをきっかけに、“もったいない”という意識を今一度見つめ直してもらえるようになると、社会全体で食品廃棄を減らす動きにつながっていくのではないでしょうか。
少し大きな話になりますが、スーパーでの食品廃棄だけでなく、家庭から出る食品ロスも減り、さまざまな場面で食品ロスが削減されていく未来が実現するといいなと感じています。
■「ステナス」について

「ステナス」は、まだ食べられるがスーパーで販売できなくなった生鮮・日配食品等を、マッチングプラットフォームを活用して、ひとり親世帯、奨学金受給学生、こども食堂等の団体を含む消費者へ、リアルタイムにマッチングを行う仕組みです。利用者は、通常より安価に商品を購入して、店舗に設置した専用冷蔵庫で購入した商品を受け取ることができます。この取り組みを通じて、スーパーにおける食品ロスの削減と、困難を抱えた世帯の支援の両立を目指します。