こどもたちには生まれた環境により機会の格差があります。例えば経済的な理由で習い事や留学ができない、あるいは栄養バランスの取れた食事を取れないなど、その格差は様々な形で現れます。このような格差は本人たちの可能性を狭め希望を奪うだけでなく、日本を支える人材を育てる観点からも、大きな社会的損失を生んでいます。 

そこでネッスーには、ミッションの「こどもの機会格差の解消」に共感し、多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まっています。今回はその中でもユニークな経歴を持つ一人、北嶋さんにお話を伺いました。 

人材・IT業界を経て、自身の病気をきっかけにこども支援の世界に飛び込んだ北嶋さん。これまでのキャリアや、ネッスーで働くことを選んだ理由に迫ります。 

人材・IT業界からこども支援の世界へ 

北嶋さんのこれまでのキャリアについて教えてください。 

私はもともとアパレル業界でキャリアをスタートし、百貨店で販売職として働いていました。しかし、東日本大震災をきっかけに「生きていくうえで本当に必要なものは何か」を改めて考えるようになりました。そこで人の「働くこと」に関わる仕事に関心を持ち、外資系ブランドやファッション業界に特化した人材紹介会社へ転職しました。 

その後、30歳を迎えるタイミングで「アパレル業界以外でも経験を積みたい」と考えるようになり、転職を決意。自身が会社とともに成長できる環境を求めて、当時創業3年目だったIT業界に特化した人材企業へ飛び込みました。ここでは、ソフトウェアの力によってビジネスや企業の規模が成長していくダイナミズムを間近で体感し、自分自身の視野も大きく広がりました。 

さらにその後、人材紹介から人事全体の支援へとフィールドを広げ、採用代行(RPO)サービスを提供するスタートアップ企業に転職。最終的には、社内の新規事業として立ち上げた採用管理システムの事業責任者およびプロダクトオーナーを務め、プロダクト開発にも携わりました。 

病気を患ったことで感じた使命 

こども支援に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか? 

きっかけは、20代後半から抱えていた婦人科系の疾患でした。当時は月経のたびに重度の貧血に悩まされ、輸血が必要になるほど体調に影響がありました。32歳のときに再び入院することになり、リモートで仕事は続けられたものの、毎月訪れる強い痛みと、それによって思うようにパフォーマンスが発揮できない歯がゆさに苦しんでいました。 

婦人疾患の影響で、妊娠の可能性が低くなることもわかっていたので、「治療に専念するために仕事をセーブすべきか」と迷う時期もありました。しかし、毎月の痛みに耐え続ける生活は限界があり、「このままでは自分らしい人生を歩めない」と感じるようになりました。 

「時間は人生で最も大切な資産」と捉えるようになり、病気を抱えたまま制限のある生活を続けるよりも、新たな可能性に向かって進もうと決意。33歳のときに手術を受け、結果的に子宮を摘出しました。そこからは、健康な体を取り戻し、自分の人生をより自由に生きられるようになったと感じています。 

もちろん、私は「子どもを産まない」と決めたわけではありません。代理出産など、さまざまな可能性はまだ残しています。ただ、そうした選択肢を見つめ直す中で、「自分が子どもを育てるいう形でなくても、社会で子どもたちの力になれる方法があるのでは」と考えるようになりました。 

以前から寄付やボランティアなどに関わってきましたが、病気を通して「自分ができるこども支援の形」をより深く考えるようになり、それが今の活動への大きなきっかけとなりました。 

ネッスーとの出会い 

ネッスーを知ったきっかけは? 

2023年1月、NHKのニュース番組でネッスーの代表・木戸さんが出演されているのを見て、大きな衝撃を受けました。それまで、こども支援を「株式会社」という形で行っている組織に出会ったことがなく、営利企業としてこども支援に取り組んでいることにとても驚いたんです。 

私自身も業務外でNPO活動に関わっていますが、経済合理性があるほうが人は動きやすく、活動の継続性も高まる部分もあると感じていました。だからこそ、ネッスーが「株式会社」として事業を展開しながら、こども支援に取り組んでいる姿勢に強く共感しました。 

当時は転職を考えていたわけではなかったのですが、「もし次に転職するなら、ネッスーのお話を聞いてみたい」と心に決めていました。ネッスーは、自分の成長だけでなく、これまでの経験や想い、そしてやりたいことを“ビジネス”として実現できる場所だと感じたんです。 

そして、その後ちょうど仕事にひと区切りがついたタイミングでアプライし、現在に至ります。 

株式会社によるこども支援の可能性 

ネッスーでのミッションやここで働く魅力を教えてください。 

現在は、フードバンク事業の「こどもふるさと便」の企画・営業として各地域の自治体や農協・漁協、農家さんや食材の寄贈先であるこども食堂の方への働きかけなど、プロジェクトの立ち上げと運用を担当しています。ほかには採用担当も兼務するなど、幅広い業務に携わっています。 

ネッスーでは、こどもやひとり親の支援だけでなく、農家、農協、一次産業者の方々にもメリットがある形で経済活動を行っています。これはまさに社会問題の解決と経済活動の両立を目指すソーシャルイノベーションの可能性を示していますし、ネッスーで働く魅力の1つだ個人的に感じています。 

ネッスーが目指すこどもの未来

最後に、ネッスーに興味を持っている人へメッセージをお願いします。 

こどもの「機会格差」は、やがて教育の格差に、そして最終的には就職や収入の格差につながっていきます。この連鎖は一人の人生だけでなく、次の世代にまで影響を及ぼし、社会に深い分断を生みかねません。 

だからこそ、ネッスーで取り組んでいる事業には、社会的にも大きな意味があると感じています。この“負の連鎖”を断ち切るには、一人でも多くの大人が関心を持ち、行動することが必要です。 

私自身は病気を通じてこども支援に関心を持つようになりましたが、ネッスーには看護師や保育士、建築士など、まったく異なる分野から集まったメンバーがいます。皆、それぞれの経験の中でこどもにまつわる社会課題に出会い、解決したいという思いを持ってジョインしています。 

ネッスーでは、ソーシャルセクターでの経験があるかどうかは重視していません。必要なのは、「こどもの未来をより良くしたい」という想いと、社会課題の解決に本気で向き合う覚悟です。むしろ、さまざまな業界や職種で培ってきたスキルや視点こそが、多様なこどものニーズに応えるうえで大きな武器になると思います。 

特定のバックグラウンドにとらわれず、自分の経験や価値観を活かして、社会にインパクトを与えたい方。そんな方にこそ、ネッスーの扉をたたいていただきたいです。 

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