医療現場やヘルスケアベンチャー企業での経験を経てネッスーに入社した田中さん。一見異なる分野に思えるそのキャリアの背景には、様々な想いがありました。
そこで今回は、多様なバックグラウンドを持つプロフェッショナルが集まるネッスーの中で活躍する、田中さんの今とこれからを伺いました。
幼い頃から親しんだスポーツの世界
田中さんは看護師免許をお持ちだと伺いました。看護師を目指された経緯や、これまでのご経歴について教えていただけますか。
看護師を志すようになったのは中学生の頃です。当時はソフトボールに打ち込んだり、父がトライアスロンを趣味としていたこともあり、幼い頃からスポーツに親しむ環境で育ってきました。その影響で、いつしか将来はスポーツに携わる仕事に就きたいと考えるようになりました。ただ、それは選手としてではなく、他の形での関わり方を模索していました。
そんなときにスポーツ看護師という道を見つけ、慶應義塾大学の看護医療学部に進学しました。大学の授業では、座学だけでなく、実習の時間もたくさんありました。実習を通して、様々な患者様と関わる中で、病気を看る大変さや看護の持つ力を実感しました。
看護師経験を積んでから大学院へ
大学卒業後のキャリアについて詳しくお聞かせください。
大学卒業後は、慶應義塾大学病院の整形外科で勤務しました。入職時から、将来的には更にスポーツ分野での専門性を高めたいという思いがあり、3〜5年の実務経験を積んだ後に進学することを考え、この進路を選択しました。実際、病院には3年勤務し、基本的な業務の流れを把握できたタイミングで、次のステップに進むことを決意しました。
進学先として選んだのが慶應義塾大学大学院の健康マネジメント研究科です。ここではスポーツ科学を専門的に学び、特にランニングフォームの解析やスポーツ障害の予防について研究を行いました。印象深かったのは、大学の駅伝部のサポートです。眼鏡型のセンサーを使用して選手の体の姿勢や頭の動きを検知し、フォームの改善点などをフィードバックする活動に携わりました。
ただ、この大学院生活中の2年間も、学業と並行して大学病院で夜勤専従として働いたり、クリニックでアルバイトをしたりしながら、実務経験も積み続けました。
大学院修了後は、大学院の先生から大学の卒業生が立ち上げたヘルスケア系ベンチャー企業を紹介していただき、入社しました。この企業では、スポーツイベントへの医療従事者の派遣サービスの立ち上げ準備をしていて、私のバックグラウンドとぴったり合致したんです。
そこでサービスの立ち上げ段階から携わることになり、企画、営業、そして看護師や医師の採用まで、幅広い業務を担当しました。私がこのサービスの専任正社員として唯一の担当者だったので、本当に1から全てを作り上げていく経験ができました。
特に、スポーツイベントの救護を依頼してくださるお客様との関係づくりに一番のやりがいを感じていました。私たちのサービスを選んでもらったからには、“期待以上の価値を提供できるように”という気持ちで毎回取り組んでいました。イベントの成功を医療の面から支える仲間として信頼してもらえるように、当日の救護だけでなく、イベント企画段階から携わり、イベント終了後の次回に向けた振り返りも行っていました。その結果、リピートして利用してくださるパートナー企業も増え、なんでも相談してもらえる関係を築くことができました。
イベントで知った「こども」の環境
そこからネッスーへの転職を決めた理由や、入社までの経緯について教えていただけますか?
実は私のキャリアを振り返ると、こどもたちと関わる機会が多かったんです。例えば大学時代には東日本大震災で被災した福島のこどもたちとキャンプを行ったり、病気や障害のあるこどもたちと関わったりして、やりがいを感じていました。そういった経験を通じて、こどもに関わる仕事をライフワークにできたらいいなという思いが強くなっていました。
特に心に残っているのは、「子どもの体験格差解消プロジェクト」という取り組みに看護師として参加させていただいたときの経験です。株式会社Ridilover様主催のプロジェクトで、ひとり親世帯や親が心身の不調を抱えているといった理由などで時間的・精神的余裕がない家庭や、ヤングケアラーや不登校の子どもたちなど、体験格差を抱える子どもたちを対象にした修学旅行のような企画でした。
このプロジェクトに関わる中で、こどもの体験格差という社会課題の実態を目の当たりにしました。家庭環境や経済状況によって、旅行や様々な体験の機会に大きな差が生まれてしまう現実があることを知りました。
その時はまだ、この分野に本格的に飛び込もうとは考えていませんでしたが、「自分にできることはないだろうか」という思いが心の中にずっと残っていました。この経験が私の中で強く印象に残っていたので、ネッスーの求人にある「こども」「体験」といったキーワードに強く惹かれた理由にもなりました。
面接では皆さんが私の話をしっかりと聞いてくださり、やりたいことと会社の方向性がマッチしているかを丁寧に確認してくださいました。試されている感覚もなく、とても話しやすい面談だったのが印象的でした。
事業の詳細を伺った際に、これまでの看護師としての経験も活かせそうだと感じました。例えば看護の現場で培った問題解決力は、ビジネスの場面でも非常に活かせるスキルだと考えています。というのも、看護の現場では患者さんの発言や症状と客観的なデータを総合的に分析し、最適な解決策を見出していきます。この「看護記録(SOAP)」と同じような手順で仕事を進められれば、ビジネス上の課題解決にも応用できると考えました。
面談を経て、2024年6月から1ヶ月間、業務委託で働かせていただくようになりました。この期間があったことで、会社や他の社員への理解を深められましたし、自分が本当にこの環境で活躍できるのかを見極める良い機会となりました。また、業務委託期間中はネットスーパー事業の立ち上げ期ということもあり、様々な業務に携わらせていただきました。飲食店への営業活動や契約パートナーの開拓、さらには下北沢の地域イベントの準備など、幅広い経験ができてありがたかったです。
実は前職を退職してからは、いくつかの業務委託の仕事を請け負いながらゆっくりと次のステップを考えていました。長く働ける環境を慎重に選びたいという思いがあったんです。その点、1ヶ月の業務委託期間があったことで、会社の雰囲気や自分との相性、求められる役割などをじっくりと確認することができました。そこで、7月から正社員として勤務をスタートしました。
これまでの経験を活かした新規事業を立ち上げ
現在の業務内容と、今後ネッスーでチャレンジしたいことについて教えていただけますか?
現在はネットスーパー事業を担当しています。新サービスの立ち上げということで、日々めまぐるしい毎日を送っています。
この事業の魅力は、様々なステークホルダーの方々と直接対話しながら、サービスを作り上げていけることにあります。飲食店さん、保育園さん、配送業者さん、そして今後増えていく利用者の方々など、多くの方々との関わりがあり、それぞれの立場からいただくフィードバックは、サービス改善の貴重な機会となっています。
前職でもスポーツイベントの企業への営業や、利用企業さんの継続利用支援を担当していました。お客様に期待していただき、それに応えられた時の喜びは格別です。この経験が私の中で「好きな仕事」として定着していたので、ネッスーでも新しい形でチャレンジできることにワクワクしています。
今は体制を整えてサービスをスタートさせた段階ですが、実際に動き出した中で、想定と違う部分も出てくると思います。そういった課題に対して、改善を重ねていけることにもやりがいを感じています。短いフィードバックのループも、スタートアップならではの醍醐味ですね。
いずれは、入社当初から興味を持っていたこどもの体験に関するプロジェクトへの思いは変わっていません。ただ、ネットスーパー事業に携わる中で、新たな気づきもありました。株式会社として社会課題を解決していくためには、しっかりとした収益基盤を作ることが重要だと実感しています。というのも、これまでのキャリアを振り返ると、病院では診療報酬制度があり、提供するサービスの価格は点数によって一律に決められています。そのため、看護師として働いていた時は、「自分が提供しているサービスの価値はいくらなのか」ということを具体的に考えたことがありませんでした。しかし、株式会社としての企業活動においては、提供するサービスに適切な価値を設定し、それに見合った対価をいただくという考え方が基本にあります。その価値を定量的に測り、適切に請求していくことは、持続可能なビジネスを展開する上で非常に重要だと理解しています。
その点、ネットスーパー事業は、子育て支援というミッションに沿いながら、リテールソリューション(小売店舗の集客や運営支援)としてビジネスを展開できる可能性があります。このように社会的意義とビジネスの両立ができる事業に携われることは、私にとってとても魅力的です。
異業種転職で見つけた新たな可能性
現在のフェーズのネッスーに入社するメリットや面白さについて、どのように感じていますか?
スピード感のある環境で働けることは、そういった環境を求めている人にとって大きな魅力だと感じています。社内では様々な事業部で異なるプロジェクトが同時進行しているのですが、「えっ、そんなことやってたんだ!」と驚くような話を聞くことも多いんです。そういった情報をキャッチアップしていくこと自体が面白いですし、刺激的な環境です。
また、チャレンジを恐れない社風も魅力の1つです。「やってみないとわからない」未知の領域に飛び込んでいくことを楽しめる環境があります。例えば、想定していた通りにいかないことがあっても、それを引きずることなく、「じゃあ次はこれをやってみよう」という前向きな発想で次のアイデアに取り組めます。この柔軟さは、スタートアップであり、ネッスーならではの強みだと感じています。
組織の多様性も大きな特徴です。ネッスーには建築家や社会福祉士など、全く異なるバックグラウンドを持つプロフェッショナルな人材が集まっています。それぞれの専門性や経験を活かしながら、一つの目標に向かって協力し合える環境は、組織としての大きな強みになっていると実感していますし、ここで働く魅力でもあるので、さらにいろんなバックグラウンドのある社員が増えると嬉しいです。
最後に、ネッスーで働くことに興味のある方へ、メッセージをお願いします。
お伝えしたとおり、ネッスーでは入社を検討されている方に、1ヶ月程度の業務委託期間が設けられています。この期間があることで、実際の業務や会社の雰囲気を体験できますし、次のキャリアを考える上でも良い機会が得られるはずです。ですから、少しでもネッスーで働くことに興味がある方にとって、このような期間があることは大きな安心材料になるのではないでしょうか。カジュアルな面談だけでなく、実際の業務を体験できる機会があることは、とても価値のあることだと感じています。
また、私自身は医療現場での経験から医療系ベンチャー企業を経て、現在は医療とは異なるこども支援の分野で働いています。このようなキャリアの変遷を経験してきた中で、異業種転職は実は想像していたほどハードルは高くないということを実感しています。
確かに、異業種への転職を考える際には不安を感じることも多いと思います。しかし、実際に飛び込んでみると、周りの方々が丁寧に教えてくださり、日々成長できる機会に恵まれています。むしろ、異業種での経験があることは、新しい視点や専門性を組織にもたらすことができる強みになり得ます。私自身はまだ完全にその理想を実現できているわけではありませんが、そういった可能性を感じながら日々働いています。
ですから、異業種だからという理由で躊躇する必要はないと思います。実際に飛び込んでみると「案外、できるものだな」と感じることができるはずです。ぜひ、新しいチャレンジを恐れずに一歩を踏み出してみてください。